神戸市垂水区 内科・小児科・消化器科 洪南クリニック

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がんの話>肝臓がんについて(その2)

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がんを100%予防する方法は夢のような話ですが、実は一部のがんでは可能になっているのです。B型肝炎ウイルスによる肝がんは、肝がん全体の約30%を占めていますが、これは将来100%消滅すると考えられています。

B型肝炎ウイルスのキャリア(保有者)は将来、慢性肝炎、肝硬変を経て肝がんに進展する可能性が極めて高いのですが、このキャリアのほとんどすべては母児感染(垂直感染)によることは前回にも述べました。日本ではB型肝炎ウイルスのキャリアが多い(人口の約2~3%)こともあり、1986年より「B型肝炎母子感染防止事業」が実施されました。これは国際的に見ても日本独自の施策です。この事業により、HBe抗原陽性の感染力の強いキャリアの母親から産まれた子どもは、出産直後よりヒト免疫グロブリンやHBワクチンが公費で投与されるようになりました。おそらく50年後くらいにはB型肝炎はほとんどみられなくなるでしょう。

ただ、現在キャリアの人々にはこのワクチンの投与は無効です。キャリアの人々は禁酒、禁煙の励行が必要であり、また定期的に医療機関で検査を受けて健康チェックすることが肝要です。幸い、肝がんの早期発見の技術はここ数年で飛躍的に進行しています。

日本の医学は世界最高レベルと思っている日本人が多いのですが、現実には基礎研究も応用研究も特にオリジナルの研究は欧米に遅れをとっているのが現状です。しかし、肝がんの研究は世界トップレベルとして誇れるものです。


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