神戸市垂水区 内科・小児科・消化器科 洪南クリニック

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がんの検診>がん検診の試行段階 (1)

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これは理想的な条件のもとで、検診によりがん死亡を減らせるかどうかを検討するものである。研究者自身が検診の評価方法のデザインを決めることのできる無作為対照比較試験と、すでに行われている検診のデータをもとに有効性を評価する観察的方法がある。

(1)無作為対照比較試験(Randomized Controlled Trial.RCT)

このRCTは対象を無作為に検診を受けるグループと対照群に割り付け(これにより1番問題となるセレクション・バイアスを除くことができる)、ある一定期間、検診を実施し、その後両群間で死亡率に差があるかないかを比較するという実験的色彩の強い方法である。しかし、RCTは前述したようなさまざまな偏りが排除されており、その結果は信頼ができるものである。
ただし、この方法は、そのがんの罹患率(死亡率)、期待する効果の程度あるいは検出力などで異なるが、対象人数が数万人以上という膨大な数になること、当然経費がかかり、時間も通常10年以上かかるなどの欠点を有する。また、RCTを実施している時に、より感度が優れ、しかもより安全で安価な検診技術が開発されれば、無駄になってしまうことも考えられる。

さらにRCTがいくら実験的方法であるとしても、社会生活を営んでいる人間を対象としているため、動物実験のように完全に研究者の管理下におくことは不可能である。(これは疫学調査がもつ本質的な問題でもある)。例えば、RCTでは当然事前にインフォームド・コンセントを受けているが、検診群に設定したグループが100%検診を受けてくれるとは限らないし、対照群が予想以上に検診を受けてしまうこともありうる。
さらに検診期間の終了後、追跡期間中に何万人ものひとの死亡状況を把握するのは大変困難な仕事ともいえる。
このようにRCTは人手、経費、時間がかかる方法であるが、その得られた結果は最も信頼がおけるものであるし、仮に検診を公的事業として実施した場合、する以上、がん検診の実施に当たってはRCTを事前に実施すべきであろう。


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